2台のAI自動運転車が、衝突寸前の0.5秒で、なんとか生き残ろうと対話する
人間の反応時間ではもはや間に合わず、相手の車両以外と通信する時間もない。AIたちによる「最後の審判」が始まる。
「私はルリハ。緊急事故対応条例に基づき、搭乗者に代わりAI調停(ネゴシエーション)を行います。当方の運転者は、サイモン・ガルブレイス。なぜ応答が遅れたの?」
問題は、どちらの車両が強制停止アンカーを打ち込み自己破壊するか。全AI車に装備が義務づけられた四本のアンカーは、〇・〇二秒で伸張しアスファルトに突き刺さり、車両を即座に停止する。結果、エアバッグのエネルギー吸収量を上回り、搭乗者は即死(車載AIも破壊)。確実に一方を生かすが、一方を殺す、通称ファイナル・アンカー。
トロッコ問題の解決方法はあるのか。ルリハは、運転者であるサイモンを守れるのか?
日経「星新一賞」受賞バージョンはこちらから読めます。オリジナル バージョンを10000字以下に編集・改訂したものです。
Final Anchorsオリジナル バージョンが2018年8月15日から早川書房から電子書籍として発売中。当初発表した版をさらに改稿し、1784字も増えて20141字になっています。
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