成都ワールドコン1――科幻館はでかかった(2023-10-17と18)

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2023-10-17から23の間、中国四川省の成都で開催されたワールドコン(世界SF大会)に参加しました。準備は苦労し、現地でも様々な問題に出くわしましたが、結果的には非常に有意義な旅でした。多くのことを学び、様々な人と出会いました。

何度かに分けてワールドコンでの体験を書いていきます。中国旅行のための実用的な情報のメモはこちら

出発前は、中国ビザ取得がなかなか大変でした。中国にもITにも詳しい藤井太洋さんにはいろいろとお世話になりました。現地の運営側との連絡がうまくいかなかったのですが、その一因はGmailを使っていたことだったもかもしれません。

私は、2023年10月17日に四川航空で成田空港を発ち、同じ日に四川省・成都の天府国際空港に着きました。日本からは多くの作家や出版関係者が招かれており、私もその一人でした。

飛行機では夜景がきれいでした。翼端灯の光が時々光る。CAにビールを頼むと氷の入ったカップを渡されました。なるほど。食事には事前情報通り辛いソースを頼むことができました。沢庵みたいに刻んだ漬物があって、袋に印刷された賞味期限が切れている、と思ったら、隣に座った作家のHさんが「それは製造年月日では」と教えてくれました。なるほど。

空港から宿泊先のウィンダム・ホテルとの距離はかなりあり、到着は深夜過ぎでした。空港で参加者を運ぶバスは専用のラッピングで、まずそこが驚き。なおこのバスは燃料電池車で、少なくとも10台前後あったようです。私は次の日の午前9時半からのセッションに登壇することになっていたのでゆっくり眠りたかったのですが気持ちが高ぶっていたせいかあまり眠くはありませんでした。

ウィンダムは古いホテルですが部屋は広くて清潔でした。ただ冷蔵庫が壊れているらしく冷えないのでフロントに言うと冷蔵庫ごと交換してくれました。あとで気づいたのですが、もしかしたら単に冷えにくいだけだったのかも。洗面台の栓を外す方法が見当たらず、リアル脱出ゲームの気分(正解は「押し込む」)。

10月18日に慌ただしくビュッフェの朝食を済ませてバスで会場に移動。ホテルは三食ともビュッフェでした。内容は少しずつ変わりましたが。会場では日本語を学んでいる中国人の学生ボランティアさんたちが付き添ってくれました。

さて、会場はできたばかりの成都SF博物館(科幻館)です。菁蓉(チーロン)湖という人口の池のほとりにあります。

ザハ・ハディド建築事務所設計。広くて美しい建物ですが、内部は複雑で部屋を行き来するのは慣れるまでなかなか難しい。火星の間、金星の間、というように部屋には惑星などの名前がついています。大きなホールもある一方、セッションのある部屋は小さいものも多く、人があふれて入れないことがしばしばだったのが残念。

私が最初に登壇するのは午前9時半、金星の間の「SFとファンタジーにおける宗教の創造」(“Creating a religion in science fiction and fantasy”)。これが私が英語で登壇した唯一のセッションでした。他の登壇者との事前連絡ができなかったので、ぶっつけ本番です。直前に日時が変更されて公式プログラムにもその記載がありませんでしたが、登壇者それぞれの宗教とSFの関係が語られ、私は「天駆せよ法勝寺」、仏教SFなどについて語りました。

(写真提供:成都市科幻協会)

ホテルに一度戻って昼食ビュッフェを食べてから再び会場へ。

次の登壇は「私はどうやってプロのSF小説家になったのか」セッション。これは4名の大先輩の日本字作家の方たちの末席を汚させていただきました。部屋は満席で日本SFへの関心の高さがうかがえました。参加者から「天駆せよ法勝寺」は『マトリックス』と似ているのか、という質問をいただいたので実体のない仮想世界とすべてが空であるという佛教的認識に似ている点はある、と回答しました。

これで今回のワールドコンの登壇はすべて終了。

(写真提供:成都市科幻協会)

夕方はピザハットのハンバーガーを持ってきてもらって夕食となり、その後、開会式セレモニー。コンサート・ホールのような大会場で、主催者の挨拶、映像、歌や踊りのパフォーマンス。

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