移動中、バスから見ていると、科幻大会の看板はそこら中にありました。道は少なくとも六車線あり、つくば市を思わせます。スクーターも自転車もヘルメットはかぶりません。スクーターは音もなく接近するのでヒヤリとしましたが、後で聞いた話によると法律ですべて電気化されているとのことです。
成都ワールドコン3日目の午前中は、企業ブースを見て回りました。科幻世界などの出版社、ボードゲームのAsmodee、Huawei、中国電信などが出展。『三体』、『流転の地球2』(日本未公開)関連の展示がかなりの割合でした。ゲームの会社もありましたが意外に少なかった感じ。むしろ携帯電話ゲームのほうが目立っていました。会場には引率された小中学生の団体も見かけました。下は外骨格付き宇宙服(『流転の地球』シリーズ)。
メイン会場の科幻館の構造は複雑で、地図が少ないので目的地に行くことに慣れるまでしばらくかかりました。セッションの部屋が小さいものも多く、満員だと入れません。興味のあるセッションは事前によく確認して行く必要がありました。
中国ではGoogle翻訳も役立ちますが、急いでいるときなどはわずかの中国語の知識がとても役立ちました。昼食は、KFCでダブルバーガー的なものを注文しようとしたのですが店員に伝わらず、私が「Do you speak English?」と言ったのを聞いた、英語を理解する中国人のお客さんに手伝ってもらいました。
満席のセッションに入れなかった反省を踏まえ、「未来につながるSF教育」(“Science Fiction Education Relevant to the Future”)というセッションを事前にチェックして聴講。セレモニーでは通訳ヘッドセットがあることもありましたが(開会式ではなかった)、中国語話者のみのセッションは英語通訳がないのが基本。その場合、通訳の空きがあればウィスパリング、つまり機器を使わずにささやいて逐次通訳してもらえるという感じでした。通訳者は若い男性で、登壇者の一人の方言が聴き取りにくいと言っていました。アプリの中英リアルタイム通訳も試し、そこそこの精度のようでしたが実のところ「そこそこ」ではざっくりとした意味しか通じません。また登壇者は休みなく雄弁に話すので、その場では訳文を読む時間がありません。通訳の人も交代も休みもなしによくやってくれました。このセッションでは、(おそらく)小中学生くらいまでならウルトラマン的な話でもよいが、より年齢が上のSF読者には別の種類の話が必要だ、といった意見がありました(ウルトラマンは全年齢に訴えるテーマがあると私は思いますが)。ともあれウルトラマンが中国ではやっていることを知りました。
夕方からは成都市内を流れる錦江のクルーズに参加しました。ホテルは郊外にあるのでまず成都中心部へバスで移動。他の参加者と落ち着いて話すよい機会でした。屋形船のようなオープンな船で周囲を眺めることができます。川の岸はプロジェクション・マッピングなどで飾られています。クルーズ中に、別の小舟の上で笛を吹く人が近づいてくるといった演出は印象的でした。
フィンランドからの参加者から、ムーミンを原語で読みたくてフィンランドに来てフィンランド語を学ぼうとした日本人の話を聞きました。ムーミンが書かれたのは実はスエーデン語と知ってショックを受けたとのこと。