StarX’d《スタークロスト》

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宇宙は光と命で満ちているのに人類はなぜ孤独なのか。

ライラとアルテアは、廃墟となった世界各地の劇場を巡り、演劇『ロミオと織姫』のまねごとをしている。

彼女らは半永久的に生きる疑似人体プペである。

観客となる人間を探して、地球上を二千六百年かけて旅する。

人間がもう地球にいないことを確信した彼らは、自分たちが疑似人体に宿った「星命」であることを思い出す。

§

凶暴な攻星を擁する移動星団 《白き渦》と《青の旅団》の知的星命たちは、空間支配をめぐって激しい星間決闘スター・デュエルを繰り返していた。プラズマ生命である恒星は、全身が超巨大な核融合エンジン。二つの星命系が衝突し、敵星系を破壊・吸収するか、惑星を奪取し従属させる。軌道計算に基づく戦略で、小さい星命が大きい星命を圧倒することもある。

星命は、。限界を超えて接近するのは星間決闘と星婚のとき。潮汐力で相手を破壊するか、連星になる。つまり、星間決闘は星婚と奇妙に似ている。

星の光は星の声。

星命は光子で対話する。時間は掛かるが、はるか遠方とも通信できる。

移動星団Cに属し、青白く燃える星命ライラは、惑星形成し恒星系となる任を与えられていた。ライラは、自らの付近に極微小物体が接近していることを知る。

星命会議は、星命が、自らが従える惑星上に低温生命を創ることを忌まわしき禁忌と定めている。《禁じられた宙域》にいるソル(太陽)は、この禁忌を犯したために星命会議により孤絶刑に処されていた。

ライラは、星命会議の規則に従い、粒子共鳴レゾナンスで極微小物体(恒星間世代宇宙船ジェネレーション・シップ船団)の核融合炉を暴走させて破壊する。

残留物の内部には、噂に聞く微小な低温生命が絶命していた。

ライラは、低温生命をよく観察せずに処分したことを悔いる。物体内部にある疑似人体に意識を結合して操作できると気づき、調査する。その哀れな生物の傍らには、束になった微細小片があった。表面の文様は、意味を持つ記号連続体――《物語》と推測された。

ライラは、(地球時間で)二万年かけて記号体系および記号連続体の部分的解読に成功した。争う二つの家の息子と娘が恋に落ちる話である。ライラは、この話に呆れながらも共感し羨望する。その他の小片に記録されていた情報も解読し、低温生命がソル出身であること、ライラのことを昔から認識していたと知る。

一方、移動星団 《青の旅団》に属する星命アルテアは、外来惑星を捕獲して恒星系を作る。アルテアも同様の微細小片を発見し、自らがアルテアと呼ばれることを知る。第二の小片は、ヴェガとアルテアが天の川で引き裂かれる話であった。

ライラとアルテアは、それぞれの見つけた物語を光で発するうちに、互いが同じ記号体系を使うことを見いだし、惹かれ合う。アルテアは、それまで美しい巨星デネブへの恋に身を焦がしていたが、ライラに出会ってデネブのことを忘れ去る。しかし、ライラは内心ではまだ見ぬヴェガに憧れていた……

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