2023年にSDQs様でSFプロトタイピングを実施させていただきました。SDQsは、QunaSys様が行われている「量子技術が貢献できる可能性のある持続可能な開発目標」です。SDGsで量子コンピューターとその関連技術をどのような活用できるかを模索しています。多くの企業が参加されており、先日開催されたオンライン イベントBIZ TECH STOOORM 2024をNewsPicks様と共催された京セラ様もその一社です。
量子コンピューターは、『地球外少年少女』や『HELLO WORLD』など、SF作品でもよく登場します。その基礎となる量子力学は、超ミクロの世界では一般的な物理学とは違う法則が働くという非常に興味深い分野です。ただ、難解なためにSFでもその特性がなかなかうまく生かせていないこともあります。
まず、私は短編小説「自動経済――マネーレス社会」を執筆しました。ベーシック・インカムのさらに未来では、量子コンピューターがすべての経済活動を担い、ロボットがほとんどの仕事をすることで、AIが奪うはずの仕事がもはや存在せず、お金そのものがなくなるのではないか、という想定です。橋の建設など公共工事も自動で行われ、不正入札などの余地はありません。市役所の自動化を通して、お金という価値が無意味な社会で量子コンピューターがどのように幸福を実現しうるのかを考えてみました。
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次に「SFを読む・書く」ワークショップを実施させていただきました。
「書く」ワークショップでのディスカッションに基づき、地続き物語として「不死の月」という短編小説を書きました。竹取物語に想を得て、地磁気を人工的に発生するテラバリアー計画、地下都市、そしてインプラントと万能薬によって守られた保険制度のすべてで量子コンピューターが活躍します。若返り技術を実現することは、未来に超・超高齢化社会となる日本には重要な課題かもしれません。
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今回のSFプロトタイピング ワークショップ参加者の方からは以下のような声をいただきました。
- 「世界観の解像度が高くたどり着くまでに必要な『モノ』が簡単に想像できた。」
- 「どんなにAIが進んでも最終的な判断は人間が行うことを意思したとしても、AIがそれを超えた時にどうするかという、その先の世界も見てみたいと思いました。」
- 「量子計算機の登場で経済のあり方が多く変わり得るという視点は持っていなかったので、マネーレス経済という題材は面白いと思いました。」