小説を書こうとする人に3:梗概から書き始めよう

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梗概とは

作品を書くときは、800~1200字程度の梗概(あらすじ)から書くことをお勧めします。梗概は、これから書く話をまとめた設計図です。小説は「いきなり書き始める」という人もいるかもしれません。梗概なしでうまく書ける人もいるでしょうが、一般的には梗概から書いたほうがよいです。

梗概はだれのため?

梗概はだれのために書くのでしょうか。主に編集者のためと作者自身のためです。梗概の目標は、編集者(あるいは文学コンテストの審査員)に「この梗概に基づいた実作を読みたい!と思わせることです。言い換えれば「面白い!」と思わせることです。また全体を把握してもらって作品を理解してもらうのにも役立ちます。

作者にとって梗概はどのように役立つでしょうか。私は、梗概をじっくり練って、それに基づいて実作を書きます(そうしない人もいますが)。大きな変更をするときは、梗概に一度戻って流れを組み替えます。

実作を読みたくなる梗概を書く

実作を読みたくなる梗概を書くためには、実作で書かれるはずの「作品の魅力」が梗概に含まれる必要があります。梗概では雰囲気や文体の魅力は示しづらいです。たとえば純文学作品の梗概からはおそらくなかなか実作の魅力を読み取れないでしょう。しかしSFやミステリーでは、アイデアをしっかり示せば、それが作品の魅力といえます。アイデアがぼやけるような余計な情報は削るほうがいいです。

字数制限を守って書く

梗概は、字数制限を守って書くことを強くお勧めします。800字と1200字のどちらかに決め、決めたらその字数に納まるように書きます。そうすることで推敲の練習になります。つまり本筋に関係ないことを取り除くことにより、読みやすい梗概にできるわけです(実作も同じですが)。ゲンロンSF創作講座では字数制限は比較的緩いのですが、自分のためと思って字数制限を超えたら削るほうがいいでしょう(私が最後に提出したいくつかの梗概は字数制限を超えています)。

字数制限を守るためには、Wordの左下に表示される語数カウントを常に意識して書くといいです。

分かるように書く

分かるように書く、というのは当たり前のことですが難しいです。梗概で最も多い問題は「読んでもよく分からない」です。

中有ちゅううを天駆する星寺せいじでは佛理佛ぶつりぶつが独りでに歩き回る……」

これは拙作「天駆せよ法勝寺」の一部ですが、これだけ読んでも意味が分かりませんよね。実作中では作中用語に説明を入れるので理解できますが、梗概でこんなふうに書かれると読む人は困ります。作中の独自用語を使うと、雰囲気を出すことはできますが、理解されない可能性も高まります。本筋に関係ない固有名詞や登場人物も削ったほうがいいです。分かるように書けているか確認するには、他の人に読んでもらいましょう。「これくらい伝わるだろう」という考えは甘い。作者本人にはいくら分かっても読む人に伝わらないとだめです。

また、梗概全体でどういう物事が進行しているかということも伝える必要があります。文と文のつながり、因果関係を整理するということですね。

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