第10回G1ベンチャー「SFプロトタイピングとスタートアップの社会実装」に登壇

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第10回G1ベンチャーにお招きいただき「SFプロトタイピングとスタートアップの社会実装」というセッションに登壇しました。

人口流れ星を作る会社ALEのCEO岡島礼奈様にモデレートいただき、『WIRED』日本版 エディター・アット・ラージ 小谷知也様、東京工業大学の物理学者・山崎詩郎様とともにSFプロトタイピングのあらましと、スタートアップ企業でSFプロトタイピングをどのように活用するかを自由に議論させていただきました。

小谷さんが強調されていたのは、将来の世代にとって良き祖先でありたいという「グッド・アンセスター」と未来は単一ではなく複数形の「futures」であるということ。山崎さんは学校教育でSFを生徒に書いてもらううえで、科学への興味から入ってもらうということを実践されていました。なお山崎さんは2024年6月現在、映画『オッペンハイマー』の解説を全国でするためのクラウド・ファンディングをされています。

今回の主要トピックであるAIはまさにSFの領域。ただ参加者の方はSFや小説を読まない方も多いようでした。しかしイーロン・マスクがSF好きである時点で世の中は知らずにSFに影響されているわけです。参加者の方は、これを機会に「SFプロトタイピング」という言葉だけでもチェックしていただければと思います。ハチャメチャな発想、スケールの大きな話もSFが得意とするところ。SFは世の中をよくするために様々に活用することができ、またSFは緻密な思考実験の場でもあります。

たとえば、未来の交通手段の主役は自動運転ではないと思います。自動運転は補完的には使われるはずですが、どんな交通システムがよいのかゼロから考えれば、複雑で不確実な自動運転の欠点を克服し、より優れた仕組みが作れるはず。こういうことをもっとお話しできるとよかったです。

昨年訪れた中国では世界的ベストセラー『三体』が牽引役と位置付けられ、SFが教育に広く取り入れられて、活発に議論されていました。このような取り組みを日本でももっと大規模にすればよいのに。SFをビジネスや教育に活用すればもっとワクワクすることができそう。

自分以外のセッションでは量子コンピューターと核融合のセッションなどを聴講しました。量子コンピューターについては、先日SDQs(QunaSys様)でSFプロトタイピングさせていただいたのですが、QunaSysは楊 天任さんと登壇者のお一人 藤井啓祐さんが立ち上げられた会社と伺っています。量子コンピューターの可能性はすごいのですが、あまりに汎用性が高く、また量子力学にはとっつきにくさもあります。「月に行く」といった目標のように、「量子コンピューターが何を実現するのか」はSFによって分かりやすく示すことができそうです(ちなみにSDQsのSFプロトタイピングでは「不老」としています。あくまで一例ですが)。

その後の懇親会ではふだんなかなかお目にかかれないような方ともご挨拶させていただき、貴重な時間となりました。

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