キャラクターとは、目的、性格、外見、行動など、小説のある人物をその人物たらしめるための、一言で要約できる、印象的、具体的で目立つ特徴や属性です。あるいはそのようなキャラクターを持つ人物そのものを指すこともあります。
要約から誰のことかすぐに分かる、つまり読者の印象に強く残るキャラクターは「良いキャラクター」と言えます。たとえば「莫大な報酬を要求する天才的な無免許外科医」。
小池一夫らは、優れたキャラクターがいる状態を「キャラクターが起つ」とよく表現しています。
「キャラクター性」とは、ある作品や文学ジャンルで、キャラクターをどれだけ重視するかを指します。
いわゆる純文学では、キャラクター性は必ずしも重視されません。村上春樹作品の登場人物では、脇役には「踊る小人」のような印象的なキャラクターもいますが、主人公は特徴付けしづらいこともります。一方、「吃音があり鬱屈した若い僧」、「夢見がちの赤毛の文学少女」など印象に残るキャラクターがいることは作品評価につながることもあります。
またSFやミステリーはキャラクター性が強いことも多いですが、キャラクター性が弱くても成立します。特にSFやミステリーでは、アイデアが良ければキャラクター性が弱いこともあります。しかし「変わり者だが天才的な私立探偵」というキャラクターが物語の魅力となることもあります。
キャラクター性が強すぎると、小説の他の要素を妨げることがあります。構成の面では、キャラクター性が強い人物の行動、ひいては物語の展開が予測しやすくなることもあります。
マンガ、ラノベでは、キャラクター性が強いほうがよいでしょう。
結局のところ、小説にキャラクター性は必要でしょうか。
もし小説の他の要素を妨げなければ、どのジャンルでもキャラクター性は強いほうがよいでしょう。物語の展開とキャラクター性が密接に関係しているのが理想的です。たとえば「復讐」というテーマでは、それが実現できそうです。
キャラクターの自律性、つまり「キャラクターが自分で動き出すこと」は、キャラクター性と深く関係していますが、キャラクター性とまったく同じこととはいえないようです。
キャラクターの自律性は、作者と物語の間、読者と物語の間の両方で見られ、当初の物語の枠を超えて働きます。 キャラクターの自律性は、 作者にとっては続編や前日譚を書く力になり、読者にとってはそれらをもっと読みたいという欲求につながります。