福島第一原子力発電所を見学した

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2022年8月29日、F-CON(第59回日本SF大会・福島)で企画いただいた福島第一原子力発電所見学ツアーに参加した。

8月27日・28日に開催されたF-CON自体にも、Sugoi Fushigi Showを共にやっている慶応義塾大学の大澤博隆さんと宮本道人さんと参加した(Sugoi Fushigi Showの活動費は、大澤研究室から出していただいている)。原発見学ツアーにも大澤さんと一緒に行った。

ツアーの参加者二十数名は、早朝6時15分に集合後、バスで磐梯熱海温泉・ホテル華の湯を発った。

高速道路の周囲には、白い霧が立ち込めている。窓の外は緑の木々で覆われた山々。やがて空は晴れ上がった。

帰還困難地域に近づく。バスから見える、草の生い茂ったかつての田んぼ、廃墟となったチェーン店、荒れた民家などを見ると心が痛む。

途中のサービスエリアで線量計の数字が表示されており、原発事故の場所に近づいたことを実感させられる。

東京電力廃炉資料館でバスは停車し、建物に入って説明がある。時間の関係上、展示物はざっと見ただけ。

iRobotのロボット

バスに再度乗って、福島第一原子力発電所構内に入る。ここから先は撮影禁止。バスを降りて手続きし、見学者識別用のストラップ、個人線量計、それを入れるポケットの付いたジャケット、そして軍手を付ける。その後、構内専用バスに乗り換えて各所を回る。事前に『いちえふ 福島第一原子力発電所労働記』などで予習していたので、建物の位置関係などの基礎知識は少しあった。

排気筒(カット後)(東京電力提供)

林立する巨大タンク群。バス内の線量計は低いところでは毎時1~2μSv。

タンク保管エリア(東京電力提供)

海沿いの原子炉に近づくと、バス内の線量計の数値が最大で毎時73.7μSvに跳ね上がる。見えない相手と戦う状況は、放射能もコロナも似ている。

1号機建屋(東京電力提供)

夏の終わりの青い海と空を背景に壊れた建屋が立っていた。原子炉近くの高線量地帯では雑草が伸び放題になっていた。

モルタルで覆われた地面とタンク群(東京電力提供)

東京電力の職員の方は、トリチウム水の安全性について詳しい説明をした。2022年9月の現時点では海洋投棄で注目されている事柄ではある。だが、私は廃炉費用や補償状況についてもっと知りたかった。調べれば数字や記事は出てくるのだが、中の人から直接聞きたかったのだ。

事故収束費用は、福島の廃炉費用だけで8兆円、賠償と除染を含めると22兆円におよぶという。また六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場の総事業費は、14兆4400億円。政府は原発を再開したいらしいが、これだけの費用と労力をかけても原発はグリーンで安い電源なのだろうか。企業としての東京電力は信頼を回復できるのか。原発を推進した人たちの責任は?

ちなみに上記の費用の相当部分を負担するのはだれか。電気利用者である我々が電気料金として負担することになる。

疑問は結局解消されなかったが、ともあれバスで原発まで行くことで、事故が及ぼした影響の大きさを改めて実感した。

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