新人作家がいきなりワールドコンに参加してみた1 ・開催前夜

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CoNZealandは、ニュージーランドで開催されるSFファンの大会、ワールドコンである。5日間にわたりパネル・ディスカッション、朗読など様々なイベントが催される。このたび、筑波大学大澤研究室のご支援をいただいて参加することになった。SFS (Sugoi Fushigi Show)は、筑波大学の大澤博隆さん @hiroosa、同じく筑波大学の宮本道人さん @dohjinia、橋本輝幸さん @biotit、私による日本とそのご近所のSFを英語で紹介するYouTubeチャンネルである。私は海外のSFイベントには初参加だ。

高校の頃、私はニュージーランドに一年間留学するはずだった。ところが奨学金を頂くことができたので代わりにイギリスに二年間留学した。歩んでいたかもしれない別の人生のことを想像すると感慨深いものがある。またご近所であるオーストラリアを舞台にした話を書いたこともある。ニュージーランドに行くのを心待ちにしていた。それが残念ながらコロナ・ウイルスのためにオンライン・イベントになってしまったわけだ。

イベントはすでに始まっているが本格的な開始は明日だ。

全体として気になる点から述べる。まず「ワールドコン」なのだから、(私自身は特に困ってはいないが)英語の非ネイティブ・スピーカーに対する配慮がもっとあっても良い。これはマニュアル化して体系的にやらないと難しい。たとえばネイティブにしか分からないような言葉遣いを避ける。また自動翻訳をフル活用するなど。もしこれができれば参加のハードルを下げられより多くの国からの参加が見込まれる。

またオンライン会議形式なのでタイムゾーンを考慮しなければならない。よく確認せずにイベント登壇を引き受けてしまい、あとで朝6時から開始ということに気づいた。やれやれ。

私が登壇するのは以下の4つ。

  • Reading: Yashima Yugen (拙作の朗読)
  • “Terrain of the Heart: Landscapes that Influence Story”
    「心に残る地形―物語に影響した景観」
  • “Before and After Tolkien: Epic Fantasy”
    「トールキン以前と以後―エピック・ファンタジー」
  • “Intersection of Science Fiction and Technology in Japan”
    「日本におけるSFと技術の交差」

「日本におけるSFと技術の交差」はSFSのパネル ディスカッションであり、これが私としてのメイン・イベントのつもりだった。ところが、パネリストは自分の企画を提案する機会が与えられていない。提示されたトピックに対して参加するかどうかの返答ができるだけである。これはもう少しうまいやり方がありそうだ。事務局と掛け合い、関係者にお骨折りいただいて実現した。”Terrain”と”Tolkien”は私の関心と一致していたので悪くはない。まあ英語圏のTolkienファンにかなうはずもないが。

後で事務局からReading、つまり朗読の時間を取ったという通知が来た。拙作を朗読するのは少々時期尚早と考えていたのだが、結局することにした。”Final Anchors”の英訳は終えていたし、「天駆せよ法勝寺」第一章の英訳もかなり進んでいたからである。

開催前に英訳のほうは間に合ったので朗読の練習をした。何度か音読すると英訳の問題点に改めて気づいた。それだけでなく翻訳中に原文の問題点に気づくこともある。「天駆せよ法勝寺」は現在長編として拡張中である。英語と日本語を行き来しながら書くこのような「バイリンガル執筆」というスタイルには可能性を感じるので今後も試していくつもりだ。

その2「拙作の朗読」に続く。更新通知を希望する方はメルマガ購読をどうぞ

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